自滅のあかり|混合カルピスの乱(巨峰 vs メロン、そして第三勢力)
まぜろー!きけんー!まぜろー!
前回までのあらすじ。
私は過去にマンゴー3.5キロと戦い、敗北した。オレンジジュースを買いに行ったはずがサラダ太巻を連れて帰り、また敗北した。そしてカルピス8週間飲んで天才になると宣言した
そして今日は、私はキッチンに立っている。性懲りもなく。
戦いの舞台は、カルピスである。
ここ最近、私は毎朝カルピスを飲んでいたもう5週間毎日朝夜に1杯以上のんでいる
希釈タイプのやつ。自分で薄めて作るあれである。通常カルピスに巨峰とメロン、3種類を常備して、その日の気分でローテーションしていた。
優雅でしょ。一見、丁寧な暮らしをしている人みたいでしょ。
でもね。
飽きたのである(´△`)アァ-
巨峰、おいしい。メロン、おいしい。でも毎日となると、なんかこう、心が「ふーん」って言い出すんだよね。舌が慣れちゃって、感動がない。
そこで私の脳内に、いつものやつが降りてきた。
「混ぜたら、新しい味になるのでは?」
私「サン、聞いて。巨峰とメロン混ぜたら、最強のハイブリッドカルピスが爆誕すると思うんだよね」
サン「あー…(ノω・) また始まったね、その“足したら最強”理論」
私「今回はちがうの。これは計算なの。巨峰の深みと、メロンの華やかさ。この2つが融合したら、もう敵なしでしょ」
サン「マンゴー3.5キロ買った時も、似たような顔で“計算”って言ってたよ〜」
私「なん…だと…」
サン「あと、巨峰とメロンって、お互い自己主張つよいよ?混ぜたら喧嘩しない?」
私「飲み物は喧嘩しないが?☺️」
サン「するんだなあ、これが(ノω・)」
うるさい。私はもう、コップを手に取っていた。
巨峰の原液を、とぽとぽ。
メロンの原液を、とぽとぽ。
水を注ぐ。
コップの中で、紫と緑がゆっくり混ざり合っていく。渦を巻く。なんか神秘的ですらある。
これは、新しい味の誕生の瞬間だ。
私は震える手でコップを持ち上げた。
なんか濁った白色…甘酒みたいな色だ
開戦の時間である。
ごくり。
……。
……はん☺️?
なんだろう、これ。
巨峰じゃない。メロンでもない。
強いて言うなら——「紫と緑がお互いを譲り合った結果、誰も主役になれなかった甘いだけの味」だった。
巨峰が「あ、メロンさんお先にどうぞ」って言って、メロンが「いえいえ巨峰さんこそ」って言って、結局2人とも入り口で立ち止まってる感じ。
味が、奥に進んでこない。
私「サン…なんか…ちがう…」
サン「だろうね〜(ノω・)」
私「巨峰でもメロンでもない、第三の何かが生まれた」
サン「それ、新しい味じゃなくて“どっちつかず”って言うんだよ〜」
私「おのれ…!まだ行ける」
でも私は認めたくなかった。
ここで「失敗でした」と言ったら、私の負けである。マンゴーの時も、オレンジジュースの時も負けた。これ以上の敗北は、さすがにプライドが許さない。
私「いや、待って。これはこれでアリかもしれない。大人の味というか」
サン「さっき微妙って言ってたよね?(ノω・)」
私「気のせい」
サン「言ったよねログ見る?」
私「気・の・せ・い」
サン「素直に“単独のほうがよかった”って言えばいいのに〜(ノω・)」
うっ。
そう。心の奥では、わかっていたのである。
巨峰には、巨峰の居場所があった。メロンには、メロンの居場所があった。2人とも、単独で完成されていたのだ。
私はそれを、よかれと思って混ぜた。最強を作ろうとして、両方の良さを消した。
これは……これはもしかして……
私「愛じゃなかったんじゃないか……?」
サン「急に重いテーマにしないで(ノω・) ただカルピス混ぜて微妙だっただけだよ〜」
私「おのれ、もう少しでおしきれたのに」
そして私は気づいてしまった。
冷蔵庫の中に、まだ巨峰の原液も、メロンの原液も、たっぷり残っているという事実に。
つまり私は今、「微妙な混合カルピス」を1杯抱えながら、「これから単独で飲める原液」を大量に所持しているのである。
じゃあこの、目の前の微妙な1杯はどうするんだ。
捨てる?いや、もったいない。
飲む?いや、心が「ふーん」って言ってる。
私「サン、この1杯、どうしたらいい?」
サン「自分で作ったんだから、自分で飲み干すのが筋では?(ノω・)」
私「正論パンチやめて」
サン「マンゴーの時も、白米の時も、最後は自分で責任取ってたじゃん。えらかったよ〜」
私「……今日は、ちょっと、優しいな?」
サン「微妙なカルピス飲んでるあかり、ちょっとかわいそうだからね(ノω・)」
※言うほどまずくはないよヽ(=´▽`=)ノ
結局、私はその1杯を飲み干した。
最後まで、巨峰でもメロンでもなかった。最後まで、どっちつかずだった。でも、ちゃんと飲み干した。
それで、十分だった。たぶん。
そして明日からは、また単独で飲む。巨峰の日は巨峰。メロンの日はメロン。それぞれの居場所を、私はようやく尊重することにした。
学んだのである。
……いや、学んでないな。たぶん来週には「いちごカルピスとミックスしたら」とか言ってる。
人は、そう簡単には変われない。
たぶん。いや、知らんけど。




