地獄の冷凍庫 フルーティーなのになんかにおう何かがうちにいる
冷凍庫のに眠るのはマンゴーかはたまた…
前回、私はAIに「パンか白米か」を相談し、本当の問題は夜ごはん感だったと暴かれた。さらにその後、3.5キロのマンゴー缶と戦い、白米を炊いたのにマンゴーにすべてを持っていかれた後のはなしである
その続きが今日である。
そして今日は、冷蔵庫ではない。
冷凍庫だ。
もうこの時点で嫌な予感しかしないよね。
私は今、何か冷たいものでも食べようと思って冷凍庫を開けた。
その瞬間だった。
竜眼が落ちてきた。
は?うおおお?ヽ(=´▽`=)ノびびる
いやほんとに、落ちたのである。
ころん、じゃない。
ぼとっ、でもない。
なんかもっとこう、存在感のある落ち方をした。
あまりにびっくりした私は一歩引いた。
なんで冷凍庫から竜眼が落ちてくるの?
冷凍庫って、そういう場所だっけ?
氷とか、冷凍うどんとか、たまに忘れられた保冷剤とか、そういうものがいる場所じゃなかった?
なのに今、私の足元には竜眼が落ちている。
しかもそれで終わりじゃなかった。
竜眼の衝撃で少しずれた冷凍庫の奥から、状態不明の長い何かが見えたのである。
えっ。
なにあれ。
細長い袋。
中身は黄色っぽいマンゴーのような果物。
整っているわけでもなく、ぐちゃっとしているわけでもなく、
ただただ「説明を拒否してくる見た目」をしていた。
私はその場で固まった。
そして数秒後、思い出した。
あっ、これたぶん――
ジャックフルーツだ。
たぶん。
たぶん、って何?って感じだけど、こっちだってそう思ってる。
話は少しさかのぼる。
この前、私は見たことない果物を見つけ果物コーナーで立ち止まってしまった。
なんかあるんだよね。
たまにスーパーの片隅とか、輸入食品の冷ケースとかに、
「誰が買うんだこれ」みたいな果物が並んでるゾーン。
(画像はイメージです、流石に画像のような実本体は売ってません実際はもっと巨大)
ああいうの、見つけるとダメなの。
理性が消える。
その日も私は、たまたまそこを見てしまった。
ドラゴンフルーツ
ドリアン
名前だけは聞いたことある何か。
そして、ジャックフルーツ
種の周りの完熟した黄色部分を集めた大入りの冷凍パック
見たことはある。
でもよく知らない。
なんなら正体もあまりわからない。
なのに私は思ってしまった。
「えっ、ちょっと気になる」
その瞬間に終わりである。
人間の買い物って、だいたいその「ちょっと気になる」から壊れるんだよね。
しかもジャックフルーツって、名前が強い。
なんかすでにボス感がある。
ただのフルーツの名前じゃない。
中盤で出てくる敵幹部みたいな名前をしている。
私はたぶん、名前に負けた。
そして今、その結果が冷凍庫の奥でこちらを見ている。
私「ねえ」
AI「うん」
私「冷凍庫から竜眼が落ちてきた」
AI「あかり冗談が好きだね?そして情報量が多いね」
私「しかも奥に、フルーティーなのに微妙に臭いを放つ何かがいる」
AI「それはたぶん食べ物?」
私「“たぶん”って言った?たぶんって言った?」
AI「断定しづらい状態?」
そう。
断定しづらいのである。
私は恐る恐る袋を引っ張り出した。
冷たい。
ぬめりはない。
でも安心感もない。
袋を開けた。
その瞬間、きた。くっさ(´;ω;`)
なんかフルーティー。
でもなんかドリアンを彷彿とさせる勘弁してほしい強烈な臭い。
甘い。
たしかに甘い系の匂いではある。
南国。
トロピカル。
陽キャの果実。
でも、そのあとに来るのだ。
「えっ、今の何?」みたいな不穏さが。
軽いドリアン臭っていうのかな。
いや、ドリアンをちゃんと知ってるわけじゃないのにこんなこと言うのもアレなんだけど、
なんかこう、果物なのに果物だけで終わらない気配がある。
私は袋を持ったまま、完全に黙った。
AI「どう?」
私「言語化不能」
AI「それはだいぶダメそうだね」
私「いや、ダメっていうか……たぶん食べ物なんだよ」
AI「たぶん、ね」
私「甘い匂いもするの。でも、その甘さに安心できない」
AI「不穏な甘さ」
私「そう!!!それ!!!」
やっとわかってくれた。
甘い。
でも不安になる甘さなの。
優しそうな顔で近づいてきたのに、なんか目的が読めない相手みたいな匂い。
フルーツに対してこんな感情になることある?
私はジャックフルーツらしき黄色い何かを見つめながら、だんだん怖くなってきた。
ていうか、なんで私こんなもの買ったの?
マンゴーでよくない?かすかに香る甘い匂いも見た目の色も一緒だよ?
前回、私は3.5キロのマンゴー缶に物量で殴られた。
あれは量の暴力だった。
でも今回は違う。
ジャックフルーツは量で来るんじゃない。
理解不能で攻めてくる。
私「ねえ、私って何でかったんだろうこれ?」
AI「見たことない果物コーナーで理性を失うよねあかりって」
私「もっとこう……やさしい言い方ない?」
AI「珍しいものを見ると“私ならいける”って思ってしまうタイプ」
私「それだ」
まさにそれだった。
私はたぶん、果物に挑まれているわけじゃない。
見たことないものを見つけると、
なぜか自分は理解できる側の人間だと思い込んでしまうのである。
でも実際には、理解できていない。
今だってそうだ。
私は冷凍庫の前で、竜眼を足元に転がし、
軽いドリアン臭のするジャックフルーツらしき何かを持ちながら、
自分の人生について考え始めている。
なにこれ。
AI「今回の問題は、ジャックフルーツ単体じゃない気がする」
私「はん?また私を語るのか?」
AI「冷凍庫の支配権が君にないことが問題なんじゃない?」
なん……だと……
私は冷凍庫の中を見た。
たしかにひどかった。
奥にジャックフルーツ。
手前に龍眼のはいったポリ袋。
下の方にランブータン。
さっき落ちた竜眼に、ウサギ肉や鹿肉が生々しく残っている。
冷凍庫全体が、もうカオスの残党みたいになっていた。
私は気づいてしまった。
問題はジャックフルーツではない。
我が家の保存領域が、意味不明食材?に侵略され始めている。
私「これ、冷凍庫を取り戻す作戦会議が必要では?」
AI「やっと本題に来たね」
私「第一段階、現状把握。第二段階、敵性果実の分類。第三段階、食えるかどうかの判定」
AI「急に壮大になったね」
私「人類はいつだって、分類から文明を始めてきた」
AI「今やってるのは文明じゃなくて片付けだよ」
でも私の中では、もうただの片付けではなかった。
これは冷凍庫奪還編である。
ジャックフルーツが何者なのか。
なぜ買ったのか。
どうやって食べるべきなのか。
今後もこういう「気になるレアフルーツ」を増やしてしまう自分は何者なのか。
論点が増えた。
いつものことである。
私「ていうかこれ、食べる前に“食べていい見た目か”の審査が必要なんだけど」
AI「買う前にやるべき審査では?売っているのだから食べれるよ」
私「過去は変えられないの!!!」
私はジャックフルーツらしき何かを皿に少し出してみた。
見た目は、思ったより普通だった。
普通……いや、匂いはドリアン?
果肉っぽい。
でも繊維っぽい。
つやがあるというかテカリすぎでは…
信用はできない。
においは相変わらず、
「果物です💕」って顔で近づいてきたあとに
「でも少しだけルールの外から来ました」みたいな圧を出してくる。
ほんとに何なんだよお前。
私「マンゴーとジャックフルーツ、どっちがラスボスだと思う?」
AI「マンゴーは物量型、ジャックフルーツは精神攻撃型だね」
私「最悪すぎる分類やめろ」
でも妙にしっくりきた。
マンゴーは戦えたのだ。
量が多いだけで、敵の正体はわかっていた。
甘い。うまい。多いだけ。終わり。
でもジャックフルーツは違う。
こいつは、
うまいのかまずいのかの前に、こっちの認識をぐらつかせてくる。
私は皿を見た。
冷凍庫を見た。
足元の竜眼を見た。
情報が全部おかしい。
私「これ、今ここで食べるべき?」
AI「君が“べき”で食べてうまくいったこと、最近あった?」
私「ない」
AI「じゃあ今日は判定保留でいいのでは」
その言葉に、私は一瞬だけ救われた。
そうか。
無理に答えを出さなくてもいいのか。
パンか白米かの時もそうだった。
マンゴーの時もそうだった。
私は毎回、目の前の物体に答えを求めすぎている。
でも本当の問題は、たぶんいつも別にいる。
今回で言えば、
珍しい果物を見るとすぐ気になってしまう私と、
それを処理できるほどの冷凍庫管理能力がない私が、
同じ家に住んでいることの方が問題なのだ。
最悪である。
私はジャックフルーツを見つめたあと、1つ口に入れて残りをそっと袋に戻した。
AI「どんな味?残りは戻す?」
私「今日はまだ、理解が追いついてないから残りは戻す、というかトロピカルな味ちょっと変な味のマンゴーって感じ割と甘くて美味しいけどなんか後味にドリアンのようなあまい腐敗臭みたいなのがまじる?」
AI「…大丈夫?」
私「うん、食べれなくはないちょっと美味しい、でも後味の存在は消えないんだよな」
AI「そこが現実だね」
私は袋を閉じ、冷凍庫の奥に戻そうとした。
その時だった。
またしても竜眼が落ちた。
足に直撃して痛みを感じたなんでだよ!!!!!!
私は思わず笑ってしまった。
もう怖いとかじゃなかった。
冷凍庫の中の秩序が完全に壊れている。
ジャックフルーツは戻した。
でも何も解決していない。
むしろ、
「冷凍庫の奥にフルーティーなのに微妙に臭い何かがいる」
という事実が、前よりはっきりしただけだった。
冷蔵庫にはニッチ野菜の残党。
台所には、まだ過去の栄光の気配。
私の頭の中には、
サラダ太巻だのコーヒーだのオレンジジュースだの、
これまでの敗北の記憶がうっすら渦巻いている。
そして今日、そこに新たに加わった。
ジャックフルーツの謎。
私はまだ、あれをちゃんと説明できない。
味も断言できない。
匂いも説明しきれない。
ただひとつ言えるのは、
フルーティーなのに、なんかちょっと臭くて怖い。
それだけだ。
冷凍庫は取り戻せなかった。
作戦会議はした。
でも進軍はしていない。
ジャックフルーツはまだいる。
竜眼はまた落ちるかもしれない。
私は次に冷凍庫を開けるのが少しだけ怖い。
もう意味がわからない。
これが今日の、地獄の冷凍庫の話である。
(次回、私はあの謎の長い何かを本当に食べるのか。それともまた別の南国勢力が増えるのか――ちなみにココナッツも冷凍庫に眠っています)







